2020年11月20日金曜日

YAMAHA RTXシリーズユーザー必見! PRTGの遠隔拠点NetFlow監視に死角なし

今回のブログ記事は、NetFlowエクスポートが出来ないルーターやスイッチを遠隔拠点に数多く抱え、

  • 各拠点のネットワーク機器のNetFlow監視を実施したい
  • PRTGでどのようにそれらをサポートするかを知りたい

といった要望のあるネットワーク/システム管理者様向けの記事です。

文:ジュピターテクノロジー よしひろ


ここでいうNetFlowエクスポートが出来ないネットワーク機器とは、NetFlow v5/v9, sFlow v5, jFlowといった所謂、xFlow系のプロトコルを出力することができないネットワーク機器とご理解ください。


実現方法 - PRTGとnProbeの連携

今回実現したい構成は以下図1の通りです。


図1 PRTGとnProbeによるNetFlow監視


あなたは、図1環境のネットワーク管理者です。

工場B、支社Aのエッジルーター及びL2スイッチは全てNetFlowエクスポートできない機器です。

図1左上の工場Bと右上の支社Aのトラフィックがどのように使われているか?

をNetFlow監視で実現する必要があります。

実は、PRTGにはリモートプローブという機能があり、このリモートプローブをインストールしたPCの空きNICにエッジルーターやスイッチのミラーポートをUTPケーブルで接続、パケットスニファーセンサーを追加すれば図1の構成にも対応できます。

しかし、頻繁に頂くシステム要件の中にNetFlowダンプ(NetFlowのrawデータ出力)の長期保存といったものがあるのですが、PRTG単独ではこの要件をクリアすることができません。

こういったご要件を頂いた際に弊社がご案内させていただくのが、ntop社のnProbeを遠隔拠点に配置、NetFlowプローブとて動作させPRTGが連携するシステム構成です。

nProbeをインストールする筐体に複数NICを搭載し、各遠隔拠点に配布すればエッジルータ、スイッチのミラーポートやTAP利用で各拠点の通信をNetFlow v5/v9, IPFIXに変換してPRTGや他のフローコレクター製品にエクスポートすることができます。

本記事では、PRTGのNetFlow v9カスタムセンサーの設定方法、nProbeの設定方法を詳細にご説明致します。

PRTG、NetFlow v9カスタムセンサーの導入

NetFlow v9カスタムセンサーの追加

PRTGの運用者であれば、既に慣れている作業かもしれません。

監視対象デバイスにNetFlow v9カスタムセンサーを追加します。

センサーの追加画面、検索で「netflow」と入力し、「NetFlow v9カスタムセンサー」を追加してください。


図2 NetFlow v9カスタムセンサーの選択

設定画面が表示されますので、以下のフィールドを設定します。

図3 NetFlow v9カスタムセンサーの設定


NetFlow v9カスタムセンサーの設定

センサー名: NetFlow v9 (カスタム)@工場B
NetFlowパケットを受信するUDPポート: 2055
送信者のIP: 192.168.91.46 ※工場Bのエッジルーターを想定
アクティブフロータイムアウト(分): 10分
チャネル定義: ※追加したいチャネルを以下の様にユーザー定義

#1445:SMB(445)
Protocol[TCP] and (SourcePort[445] or DestinationPort[445])

#1001:HTTP
Protocol[TCP] and ( SourcePort[80] or DestinationPort[80] or SourcePort[8080] or DestinationPort[8080])

#1023:HTTPS
Protocol[TCP] and (SourcePort[443] or DestinationPort[443])

#1024:FTP (Control)
Protocol[TCP] and (DestinationPort[20-21] OR SourcePort[20-21])

#1006:IMAP
(Protocol[TCP] or Protocol[UDP]) and ( DestinationPort[143] or SourcePort[143] or DestinationPort[220] or SourcePort[220] or DestinationPort[993] or SourcePort[993])

#1008:POP3
Protocol[TCP] and (SourcePort[110] or DestinationPort[110] or SourcePort[995] or DestinationPort[995])

#1011:SMTP
Protocol[TCP] and (SourcePort[25] or DestinationPort[25])

#1007:IRC
Protocol[TCP] and (SourcePort[6667] or DestinationPort[6667])

#1025:AIM
Protocol[TCP] and (SourcePort[5190] or DestinationPort[5190])

#1009:RDP
(Protocol[TCP] or Protocol[UDP]) and (SourcePort[3389] or DestinationPort[3389])

#1014:SSH
Protocol[TCP] and (SourcePort[22] or DestinationPort[22])

#1016:Telnet
Protocol[TCP] and (SourcePort[23] or DestinationPort[23])

#1017:VNC
Protocol[TCP] and (SourcePort[5800] or DestinationPort[5800] or SourcePort[5900] or DestinationPort[5900])

#1003:DHCP
Protocol[UDP] and ((SourcePort[68] and DestinationPort[67]) or (SourcePort[67] and DestinationPort[68]))

#1004:DNS
(Protocol[TCP] or Protocol[UDP]) and (SourcePort[53] or DestinationPort[53])

#1005:Ident
Protocol[TCP] and (SourcePort[113] or DestinationPort[113])

#1018:ICMP
Protocol[ICMP]

#1012:SNMP
Protocol[UDP] and (SourcePort[161-162] or DestinationPort[161-162])

#1019:NETBIOS
(Protocol[TCP] OR Protocol[UDP]) AND (DestinationPort[137-139] OR SourcePort[137-139])

#1026:Citrix
Protocol[TCP] and (Port[1494] or Port[2598] or Port[2512])

#1021:OtherUDP
Protocol[UDP]

#1022:OtherTCP
Protocol[TCP]


以上を設定し、「作成」ボタンを押してください。


nProbeの設定

nProbeをインストールしたPCを工場Bのエッジルータ、L2スイッチのミラーポートに接続します。
nProbeからPRTGにNetFlow v9をエクスポートするよう設定します。
/etc/nprobe配下に以下の設定ファイルを配置してください。

[/etc/nprobe/nprobe-prtg.conf]
-i=enp1s0f1     ・・・ミラーポートに接続するインターフェイス名
-n=192.168.91.240:2055 ・・・PRTGのIPアドレス
-T=@NTOPNG@ ・・・テンプレート
-P=/var/log/nprobe/prtg ・・・ダンプフォルダ
-V=9 ・・・NetFlow v9指定

最後に以下のコマンドを実行するだけです。

$systemctl start nprobe@prtg


PRTGのNetFlow v9カスタムセンサー表示

最後に今迄設定したNetFlow v9カスタムセンサーが実際にどのようにPRTG COREサーバーのWebコンソールで表示されるのかをご紹介します。


図4 NetFlow v9カスタムセンサートップ


図5 NetFlow v9カスタムセンサーライブデータ


図6 NetFlow v9カスタムセンサートップトーカー


図7 NetFlow v9カスタムセンサートップコネクション


図8 NetFlow v9カスタムセンサートッププロトコル


如何でしたでしょうか?
PRTGとnProbeを活用して、組織ネットワークの可視化を低コストで実現しましょう!

新しくなったPRTGの日本語インタフェースをぜひお試しください!